中庭に着いて周りを見渡してみると、さっきまで危険な動きをしていたまほりは、テーブルの上に置かれた機械の下の方を覗き込んでいた。

 火恩寺君も木から下りてきていて、まほりが覗き込んでいる何かを一緒に見ている。
「まほ……」
 まほりに火恩寺君、何してるの?

 そう口にしかけて、自分の姿を思い出し、
「椎名にタツヒコ、何してんだよ?」
 と幸太郎仕様に言い換えて、二人に声をかける。

 ちょうど後ろからのアプローチになり、二人がこちらを振り返る。
「あ、コータロー君」
「こぉたろぉか」

「何してるの?」
 ついつい地の話し方で尋ねてしまうと、まほりが不思議そうな顔をする。
「今ね、この龍尾山の魔力の量を量ってたんだ。何か前より魔力の量が少ない気がして」

「か……タツヒコも一緒に?」
「俺は山の様子がおかしいのを感じたんで出てきた。ひょっとすりゃあ、山の守り神に何かあったんじゃねぇかって思ってな」

「守り神って……焔生の龍だよね?」
「焔生の龍を知ってんのか?」
「うん、まあ……」

 実は、前に火恩寺君に教えてもらったの。
 そんなことを言っても今の状態じゃ変人扱いされるのが関の山だ。