……。
……ん。

「……くん。コータロー君」

 近くで声がして、わたしはハッと目を覚ました。

 真っ青な空を背景にして、まほり、穂波君、火恩寺君、松代君の四人がわたしを覗き込んでいる。

 みんな人間の姿をしているのは何でだろう?
 それに、さっきのは何?夢なの?
 とぼんやりした頭で思う。

「あ、目が覚めたみたいだ。突然倒れたから、びっくりしたよ」
「わたし、倒れたの……?」

「休み時間の間に、ちょっと散歩に出ようじゃねぇかって話になって、その途中で。覚えてねぇのか?」
 火恩寺君がそう教えてくれる。でも、話している内容が明らかにおかしかった。

「え、ちょっと待って。話がおかしいよ。確かわたし達は、コータローと戸田さんを探していたはずだよ。……それに、みんな、何で人間の姿に戻ってるの?」
「人間の姿?僕たちが、人間以外の何だというのだ?」

「それに、コータロー君、何で女の子みたいなしゃべり方なの?」
「何でって……。え?コータロー君?」
 慌てて起き上がり、まほりの目を見ると、不思議そうな眼差しでわたしを見ている。

「コータロー君って、わたしのこと?」
「うん。何かちょっとだけ雰囲気がいつもと違うけど、コータロー君はコータロー君だよ」
 そう言われて、全身を見下ろしてみる。

 確かに、幸太郎と入れ替わったままのようで、見た目だけで言えば間違いようもなく幸太郎だ。
 でも、まほりも、その他のみんなも中身がわたしだってことを知っていたはずだ。

「疲れてるんじゃないかな。言っていることがめちゃくちゃだし」
「いや、疲れてるとかそういう問題じゃ……。あ、それじゃ、ミサキはどうなったの?この近くにいるの?」

 わたしが幸太郎とでしかみんなに認識されていないのなら、幸太郎のことは『本田美咲』として聞いたほうがいいと思って、そう聞いてみたけれど……。
 みんなして、まるで頭の上にクエスチョンマークを浮かべているかのような顔をする。