そんなこんなで、馬とネズミと蝶々というメンツとしばし見守っていると、
「分かりました、姐御!」
 勢いよく地面に降り立ち、それでも何の衝撃も感じない様子のまま、火恩寺君が戻ってきた。

「もっと山の上のほうに上っていったみたいですね。匂いがそっちから流れてきています」
 そして、犬のようにきらきらした目でそうやって報告してくれるのだ。
 幸太郎よりもよっぽど犬っぽい。

「それじゃあ、さっそく行きましょう。こぉたろぉを探しに」
 火恩寺君がそう言うと、
「……タツヒコはそれで異存はないの?一応、恋敵を探しに行くことになるんだよ」
 地面に座っていた穂波君が足を立て、何だか気だるそうにタテガミをふるいながら、立ち上がる。

「こ、恋敵って!コータローは別に……」
「横堀は本田さんのことが好きだから、俺にとっては恋敵だよ」

「でも……」
 好きという言葉はわたしには重い。
「タツヒコは?」

「俺は、姐御が幸せならそれでいいんです。縁というものは恋慕だけじゃあねぇと思うんで。こぉたろぉが姐御を幸せにするなら、それで俺は異存なんてありません」
「いや、それもまた思考が飛躍しすぎですから!」
 わたしが思わず突っ込みを入れると、ふぅと穂波君がため息をつく。