「幸太郎を助けに行かなくちゃ?」
 穂波君がわたしの心を読んだみたいにそう言ってくる。

「うん、そうだけど?」
 わたしがそう言うと、穂波君は少し困ったような顔(?)をしてから、
「何でもないよ、助けに行こうか」
 そう言う。

「そう?まあいいけど……。まずは戸田さんの居場所を探さないとだね」
「大騒ぎしている場所があったら、そこに居そうだけどねー」
 まほりがわたしの方にやってきて羽を休めながらそう言った。

「確かに龍が突然姿を現したら、大騒ぎがありそうだけれど、そんなの分かる方法あるのかなあ」
「分かりますよ」

 火恩寺君はそう言うと、一目散に駆けていって、合宿所の入口の屋根にとびのり、それからぴょんぴょんと順当に跳んで屋上に上ってしまった。

「な、何する気!?」
「タツヒコは五感が異様なくらい発達している野生児だからね。戸田さんの居場所を探ろうとしているんだと思う」

「異様なくらいな発達……」
 屋根の上跳んで登校するし、火恩寺君って、もはや野生児っていうくくりすらも超えていそうだけどね……。