気がついたときには、馬もねずみも蝶々もすでに目を覚ましていて、異種間での会話が繰り広げられていた。

 話の内容が干草を食べたいとか、花の蜜が吸いたいとか、美味しい木の実はどこに落ちているのかとか、完全に動物目線のものばかりなので、ちょっと心配になった。

 それに、わたしと間違われて、連れ去られてしまった幸太郎のことも気にかかる。

 そんなわけで、動物達――本当はわたしの友達だけれど……――の会話に入ろうかどうか迷っていると、
『ここに居たのだな』
 どこからか尊厳な声がした。ひじょーに聞き覚えがある。

 見ると、ぶにょぶにょした身体を地面にはわせながらミミズがやって来る。
「ミ、ミミズっ!」
 わたしは慌てて体を起こした。

「ミミズか。たんぱく源になるだろうか……」
 松代君が物欲しげにミミズを見つめながら、じりじりと近づいていく。

『や、やめよ。小さき生き物よ』
「ま、松代君、食べない方が良いと思うよ!?」
 元に戻ったときに、色んなことに絶望しそうだ。

「しかし、ミミズならばついでに水分補給も出来そうだ」
 そう言って、今にもとびかからんと、松代君が身体を縮めたとき――――