そのとき、
「あ、いたいた。ミサにコータロー君!大変だよ!」
 聞き覚えのある声が飛んできて、わたし達は声の方に振り返る。

「え?」
 けれど、そこには誰もいなかった。
「確かに今声がしたよな?」
 幸太郎と二人顔を見合わせる。

「どこ見てるの二人ともー。ここだよここ。目の前で飛んでるよ?」
 確かに、目の前にはパタパタと羽をはためかせるキアゲハがいた――――。

「コータロー……わたし今すごく怖い想像してるんだけど」
「奇遇だな、俺もだ」
「あれー、ミサ達は入れ替わりになっちゃったんだ?」
 神妙な顔になるわたし達をよそに、のんびりとした調子の声が響く。そしてキアゲハがわたしの肩にとまってくる。

「何で分かるの……ていうか、やっぱりこの蝶々はやっぱり?」
「椎名だな、疑いようもなく」
「二人とも顔色悪いよ?平気?」

「平気なわけないでしょ!何でまほり、蝶々になってるの!?」
「中身がミサだと、コータロー君ちょっと系統変わるね。じぇんだれす男子?」
「椎名……」
「まほり、怒っていい?」

 わたしがそう言うと、突っ込まれてはたまらないという風に、ひらひらと飛んでわたしとの間をあけながら、
「あ、何で蝶々になったか、だよね?これは、わたしの想像なんだけどね――――コータロー君が、ミサに告白したからだよ」
 そう言った。

「な、な、な……何でそれを」
「知ってるんだよ!?」
「知ってるの?!」
 わたしと幸太郎の声が重なった。