魔法8日目(先勝)

 龍尾山ゆきのバスの片隅で、龍対策本部が構えられていた。
 メンバーは幸太郎とまほりと穂波君とわたし。
 火恩寺君は、後から合宿とは関係なく合流すると言い、松代君は首に付いた変なマークを解明すると言って欠席した。

 昨日の夜、みんなから、
『ミサは合宿休んだ方がいいと思うな』
『龍が出てきたら俺が倒すから、普通に参加しろよ』
『参加して、みんなと龍の対策を考えた方がいいんじゃないかな』

『合宿先の龍尾山は龍のお膝元ですから、やめた方がいいと思います』
『本田が行くようなら、僕は休むし、本田が休むようなら僕は参加しよう。なるべく離れるよう善処する。龍の動向が分からないからな』
 と合宿についての連絡が来ていた。

 ちなみに、火恩寺君は本人がそう言いにやってきて、松代君に関しては、伝書鳩を飛ばしてそう連絡をくれたので、あのあと、ちょっとしたひと騒動があった。

 ゆき姉ちゃんが火恩寺くんをなかなか帰したがらなかったり、鳩がなかなか帰りたがらなかったり……。
 とまあ、最近ではありがちの面倒な状況だったけれど、元気のなかったわたしは完全スルーを決め込み、明日の合宿について考えていたのだった。