玄関で、何だか違和感を覚えた右手の甲を見ると、おまじないのあとが光っていた。
 幸太郎が元に戻ったのに、まだこの魔法は効いたままらしい。

 思わずため息がもれる。

 幸太郎も戸田さんに魔法をかけられているし、焔生の龍は暴走を起こすし、と解決しなくちゃいけないことが山積みになっていく。
 一応普通の高校生にとっては、今は夏休みなのに、全然これっぽっちも休めてない。

 それに、すっかり忘れていたけれど、明日からは合同合宿が始まるのだ。
 これ以上、面倒なことが起こらなければいいけれど。

 そう思いながらも、いろいろなことがあった疲れていたわたしは、とりあえず今は、身体をやすめよう、と決め、ただいまーと家族に声をかけたのだった。