魔法7日目(赤口)~8日目(先勝)

 魔法7日目(赤口)
 
 岩からに飲み込まれて十数分後の今、結論から言うと、わたしは逃げていた。
 着物の裾を持ちあげ、袖を振り乱しながら、走る。
 なびく髪が邪魔で、走りずらい草履が厄介だったけれど、なりふり構っていられないのだ。

 思えば、約一年前、火恩寺君の舎弟達に追い回されたことがあるけれど、あれは別にわたしを捕まえるのが目的じゃなくて、火恩寺君の逸話を是非ともわたしに聞かせたい、という心からでたもので、かわいいものだった。
 追いつかれても、怖い話のあと、だから兄貴はすごいんです、なんて念を押されておしまいだ。

 でも今は違う。
 追いつかれれば即、色んなものの危険にさらされる。
 主にわたしの未来とか、わたしの未来とかが!