「君たち……そういう話は別のところで大人になってからしようね……」
 見かねた様子のスタッフの男性が苦笑いをたたえ、突っ込みを入れてくる。

 もっともです、スタッフさんナイス、と合いの手を入れたくなってしまった。
 わたしも穂波君も注意されてからは話すことがなくなったのか、幸太郎の一緒にヒーローごっこに混ざりにいった。
 遊んでいる間、穂波君と目が合うことが多々あり、わたしは嫌な想像をしていた。

 まさかとは思うけれど、穂波君はこんな些細な約束を覚えてはないよね?
 ものすごく軽~いノリだったし。
 いやしかし、と穂波君の乙女チックな面を少しだけ知っているわたしは、一概にそう言ってしまえない気もしていた。

 だとしても、こんな子どものころの可愛らしい約束なんて、本気にはしていないと思うけれど……。
 再び、穂波君と目が合い、彼は甘い目で笑いかけてくる。
 小学校一年生にしては反則なレベルで色っぽい。

 本気にしていないと……思うけれど……。
 ぐんにゃりと目の前の光景が歪み、またどこか別の場所に連れていかれるんだな、と覚悟をした。