「アホマホサークルとおまじないのことは分かったけど、どうしてそれでコータローが犬になるの?」
「多分、失敗しちゃったからかなあ……」 
 まほりはしれっとした顔で、とんでもないことを言う。

『し、失敗ぃ!?』
「古今東西、モテモテになる魔法ってメジャーなものだけど。失敗も多いらしいんだよね。モテたいっていう欲望が大きい分、代償が大きいっていうか」
「いやいやいや!わたし、モテモテになりたいなんてこれっぽっちも思ったことないから!」
 出来る限り恋愛事には関わりたくないわたしからすれば、モテたいなんて欲望は無縁のものだ。

 人から好かれるのはもちろん嬉しいけれど、モテるモテないっていうとどうしたって恋愛要素がくっついてくる感じだし。

 わたしがそう言うと、
「あれ?そうだっけ?」
 まほりは口元に指を当てて、あさっての方を向く。要するにとぼけている。