薄物を羽織り、更に昔の花嫁さんがかぶっていた綿帽子のようなものを被らせてもらい、最終的な身支度を終えた。
「段取り大丈夫そう？」
　年配の女性が言う。

「ど、どうなんでしょう……」
　おおよその段取りは聞いたけれど、正直なところ、出来る自信がない。

　幼稚園、小学校でのお遊戯というお遊戯で調子っぱずれのものを披露してきた身からすると、実のところ拷問レベルだ。
　昨日祭りを回ったメンバーも折角だから見に来る、なんて言っていたから尚更、やりづらいことこの上ない。

　幸太郎なんて、マジで出来るのかよ……と呟いていたくらいだ。
　出来るかどうかはむしろこっちが聞きたい。

「あはは、緊張してるの？大丈夫よ。十数年越しだし、上手い下手なんて誰にも分からないわ」
「そうそう、気にしないで楽しんで」

　わたしが深刻な顔をしていたこともあってか、二人してそう言ってくれる。
　けれど、大丈夫かなあ……という不安はやっぱりなくならないまま、本番がやって来た。