まほりが来たことで集合するメンバーが揃ったので、みんなで神社に行くことにした。幸太郎は焼きそばの出店にいるから声をかけてくれ、と今朝連絡が来ていた。

 火恩寺君は昨日の帰り、社務所前で明日の舞い巫女を決めるのでそこにいるから来てください、と言っていたのを覚えている。
 まずは幸太郎に声をかけてみようかな、と思い横を歩いているはずの三人に声をかけようとしたのだけれど――――

 見ると、何だかとてつもなく大きな彫像を抱えるまほりと、お面や綿菓子やヨーヨー、りんご飴やその他の食べ物を両手いっぱいに持つ松代君がそこにいた。
「あ、あの……二人ともいつのまに?」
 まだ神社入口から入ったばかりにも関わらず、松代君なんてもう十分お祭りを楽しんだ人の格好をしている。

「みなが口々にすすめてくるものでな、ついつい買ってしまった」
「黒魔術のグッツが当たるっていうからくじ引いたら、極黒謎男先生の彫像があたっちゃった!」
 二人ともとても満足そうに微笑んでいるので、野暮なことを言うのは止めた。

 主にまほりには、その彫像もんのすごく恐ろしい形相してるけど!?と言いたくて仕方なかったけれど。
 代わりに隣にいた穂波君が、
「怖いなその彫像……」
 と呟いていた。

 黒魔術のグッツが当たるなんて一体どんな店だろう、と気になって今来た道を振り返ると、真っ黒な板に紫のラメで“ブッコミ占い&黒魔術くじ”とかかれた看板を掲げた小さな出店があるのが見えた。
 掲げている看板からして一件マイナーそうに見える出店なのに、店の前には十人ほどの列が出来ている。

 ブッコミ占いというのは、とっても聞いたことのあるフレーズだったけれど、個人的に深く関わりあいたくないので、松代君に言うのは止めておいた。
 店員と思しき黒い紗のベールをかぶった人がわたしの視線に気づいた様子で、ベールを更に深くかぶり顔を逸らした。

 何だろう……?変なの。
 顔を見られるの好きじゃないのかな。わたしの視線が不躾すぎたとか?

 少しだけ不思議に思ったけれど、
「本田さん……イッセイがまだ買うみたいだよ」
 穂波君の呆れた声がしてそちらに気を取られてしまった。

 片手の上にうずたかく積みあがったアメリカンドックやじゃがバタ、お好み焼きなどのパックものが不安定に揺れているのを見ると、さすがにまずい気がして、松代君から何個かのパックを受け取ることにした。

 ファム・ファタールに荷を負わせるなんて出来るわけがないだろう!と怒る松代君をなだめながら。