……そういえば、前に戸田さんに聞かれたことがある。占いを気にしすぎる彼氏ってどう思うって。
 あれってひょっとしたら松代君のことかもしれない。

 でも彼氏じゃないよね?
 ただ誤魔化しただけなのかな。

 それとも、戸田さんの好きな人がひょっとしたら松代君だとか……?
 じゃあ何で幸太郎にキスなんかしたんだろう?

「何を百面相している?」
 不意に考え込んでしまったわたしを不審に思ったのか、松代君が怪訝そうにして顔をのぞきこんでくる。
「戸田さんの行動が不可解で、ちょっと気になって」
「不可解?」

「早いね二人とも」
 声がして見ると、穂波君が歩いてくるのが見えた。
 穂波君の姿を見とがめると、松代君が怪訝そうな顔をする。

「数人で行くとは聞いていたが、穂波も入っていたのか。やはり、随分と……雰囲気が変わったな」
 含みのある言い方で松代君は言う。

「イッセイも大分雰囲気が違うと思うけどね。中学生と高校生だと、やっぱり変わるものだと思うよ」
 ちょうどやって来た穂波君はそう返す。
「僕が言いたいのは、そういうことじゃないがな……」

「二人って同じ中学校だったの?」
「うん、まあね。今年同じクラスになるまで、ほとんど会う機会なかったけど」
「ああ、そうだな」
 穂波君は語尾を濁すし、松代君も何だか歯切れが悪い。二人ともこれ以上この話題を続けたくないみたいに見える。

 というか、主に穂波君の方が無言の圧力をかけているように見えるけれど……。
 何だかこの二人に挟まれているのは気まずいな、と思っていると、
「おまたせー、ミサと愉快な仲間達!」
 何だか知らないけれどハイテンションなまほりが来たことで、場の空気が一気に緩んだ。