あれから松代君とは会ってないけれど、結局、戸田さんとは話を出来たのかな。
 どうして戸田さんが松代君にあんなことを言ったのか、幸太郎を元に戻したのか、わたしには分からないことばかりだ。
 巻き込まれているのに、肝心なところには触れさせてもらっていない、そんな感じがして、少しだけ苛立ちを覚えた。

 松代君は何か知っているのかな。

 昨晩、幸太郎から、午前中はサッカー部の友達を誘って祭りの準備に行ってくる、と連絡が来ていた。
 普段のやり取りとは何にも変わった様子もない。

 昨日はあのあと、幸太郎と迎えに来てくれた火恩寺君と一緒に帰った。
 帰りに幸太郎とどう接すれば良いのか、と部活の間中考えていたのに、幸太郎は何ら変わった様子がなかったので、逆にわたしの方が戸惑ってしまった。

 魔法がかかっているからしょうがない、と幸太郎に言ったものの、わたしは正直なところ、かなり引きずっていた。