寝覚めに、枕もとの目覚まし時計をみると、まだ6時台だった。
 昔の出来事を振り返っているような夢のような気もするけれど、寝起きの頭で思い出そうとする記憶は朧で、実際にそんなことがあったのかどうか思い出せなかった。

 7時にセットしてある目覚まし時計が鳴るまで、眠ろうと思うものの、中途半端に目が覚めてしまい、結局起きることにした。
 外の空気を取り込もうとカーテンと窓を開けると、すでに熱を帯びだした太陽光が庭の芝生を照らし出しているのが見えた。

 今日も暑くなりそうだな、と思いながら、レースのカーテンだけ引きなおし、一階に降りてシャワーで汗を流した。
 今日は部活が休みなので、午前中は中学の頃の友達と待ち合わせてラクロス部の試合の応援に行く約束をしている。

 午後は昨日約束したとおり、みんなで夏祭りに行く予定になっているけれど、松代君からの返事が来ていなかったのが少しだけ気がかりだった。

 そんなことを考えながら、郵便受けに新聞を取りにいくと、新聞の他に一枚の紙切れが入っていた。

 “夏祭りの件、了解した。火恩寺で待っている。松代一誠。“
 とだけ書かれ、また印鑑が押されている。
 わざわざこれを家のポストまで持ってきたのかな?それともじいやさんが?

 どっちにしてもご足労に違いない。
 連絡先とかSNSのアカウントでも教えておけば良かった。