*蒼side*
「ただいま」
帰宅すると、部屋は十分に暖められていた。
リビングのテーブルにはご馳走が並んでいるが、例年に比べると食べやすそうなメニューだ。
季蛍から連絡を受けたのは、今から数時間前のこと。
その知らせは少し残念なものだった。
「おかえり」
キッチンから顔を覗かせた季蛍が、エプロンの紐を解いた。
「ありがとう、去年と同じやつ?」
「うん、そのはず」
崩れないよう慎重に持ち帰ってきた箱を手渡す。
「ご飯一応作ったんだけど…、むりかなぁ」
苦笑する季蛍がソファへ目を向けた。
「つらそうか」
「うん、食欲ないし」


