救急外来での検査が済み、異常がないと医師から説明があった。
到着してからもトイレで何度か吐いたのだが、懸念していた病気の可能性はなさそうだ。
一応数日は要観察だな。
診察室の中へ頭を下げた愛優が、待合室に戻ってくる。
「点滴終わった?」
「終わった…」
「どう?痛み」
「うん、すごく楽になった」
「良かった」
車に積んでいた毛布を広げて背中から包み、病院を出る。
「先生がストレスかなって言ってたよ。プレッシャー感じてる?」
「感じてないって言ったら嘘になる…」
「うん、気持ちはわかる」
「体調悪くて余計焦りがあったの、だからもう大丈夫」
助手席に乗り込んだ愛優が、携帯電話で時間を確認した。
「ごめんなさい…こんな時間に」
「黙っていられる方が困る」
「うん…」
「良かった、正直に話してくれて」
「ありがとう…」
「全然いいよ」
助手席のドアを閉め、運転席に回った。
日が昇り始めていた。
*おわり*


