水の入ったコップと薬を手にリビングに戻ると、測り終わった体温計を握りしめていた。
表示を覗くが、熱はない。
「うーん、本当に頭痛だけ?」
「そう…」
「痛み止めはあるんだけどさ…」
ただの片頭痛か?
「飲んでないよね?他に薬」
市販薬を切り離しながら念の為問うと、視線を泳がせた愛優が首を振った。
「飲んだ…」
「薬?」
「薬、飲んだ…」
「いつ?」
「二時間くらい前…」
「なんだ、じゃあダメ」
「気持ち悪くて吐いたから飲んだ」
「…」
後出しの情報が多すぎる。
「嫌かもしれないけどさ」
顔を強張らせた愛優がゆっくりと頷いた。
「病院行こう」
しばらく沈黙が続いたあと、再び首が縦に動く。
「朝まで持たないでしょ」
「…我慢はできるかも」
「我慢しなくていい」
「…うん」
「上着持ってくる」


