*蒼side*
「なに、安心した?」
マフラーに顔を埋め、不安定な呼吸を繰り返す。
後部座席からティッシュの箱を取り、膝の上に乗せておいた。
焦ったように目尻を拭い、誤魔化す様子が季蛍に似ていて微笑ましい。
「…ごめんなさい」
「なんで謝るの、愛優は悪くない」
「…」
「帰ろうと思ったら連絡があった、ただそれだけ」
「…ありがとう、来てくれて」
「うん、本当に無事でよかった」
ティッシュで顔を拭い、自分を落ち着かせるかのように深呼吸を繰り返す。
「楽しめたの?今日は」
「うん…久しぶりに会えた友達だから」
「そっか。良かったね」
大事そうに抱えたココアの缶。
病院の帰り道におねだりされ、同じように抱えていた幼い頃を思い出す。
ほんと、大きくなったな。


