*愛香side*
苦しそうに呼吸をする様子が頭から離れず、車内の方へ目を向ける。
未だ動きはなさそうだ。
奏太がいれば大丈夫だという安心感があり、この今も冷静でいることができる。
私一人じゃ対処しきれなかったかもしれない。
「愛香」
車内から顔を出した奏太が手招きをした。
「大丈夫?」
「うん、とりあえず落ち着いたから隣にいてあげて」
「わかった、まだ連絡はない…」
「そろそろ着くと思う」
再び奏太と場所を変わり、車内へ。
渡したホットココアをすすり、少し楽そうな表情になっていたので安心した。
「大丈夫?苦しかったでしょ」
「すみません…」
「パニックになっちゃうよね」
奏太がなんと声を掛けたかはわからないが、短時間で落ち着きを取り戻したようだ。
私一人じゃなくて良かった、本当に。
「これかわいいね、なんのキャラクター?」
バッグにぶら下がっていたキーホルダーを手にとった。
白いうさぎのぬいぐるみ。
懐かしいな、こういうの。
「テーマパークのキャラクターです、いま一番人気」
「へー、かわいい。私が高校生のときも流行ってたな、こういうの」
「ぬいぐるみ握ると、ちょっと心が落ち着くから」
「そっか、相棒なんだ」
「はい、握りすぎてちょっと細くなってきた」
「あはは、それもかわいいよ。幸せそうな顔してるもん、この子」
「ふふ…だといいですけど」


