Cara~番外編~



「ほら、あそこ」



彼が指を向けた先に、繁華街のカラオケボックスが見えた。


何度断っても諦めないしつこさに内心呆れてはいるものの、足が竦んでいる。



「予定があるので」



自分でも想定外なほど大きい声が出た。


繁華街とは反対側に行き先を変え、足早に去る。



「じゃ、危ないから送る」



そう言って、再び手首を掴まれた。



「痛ッ…」



あまりにも強い力。


しつこい、しつこすぎる…



「はは…ごめん」



どうしようもなく溜め息が漏れ、その場に佇んだ。


時間も時間なので、すれ違う人の数もそう多くはない。



誰でもいい、誰か…


そうやって目を泳がせていたら、不意に視線が合った。


一瞬だったので、顔を記憶する時間もなかった。



「そんなに時間ないの?」



もう頷くのが精一杯だ。


散々断ったんだ、私は。







「愛優ちゃん?」