このまま家には帰れない。
どうにか巻いて帰りたい。
「お家このへん?」
誰かに助けを求めたいのに、その一声が掛けられない。
すれ違う人に視線を送っても、気がついてもらえる訳がない。
「お家近いの?もう帰る?」
助けてください、が 言えない。
自分で断れる、大丈夫…
自分で巻ける、大丈夫…
「無視すんなよ」
手首を掴まれた。
足早に歩いていた足が止まり、思わず彼を見た。
断っても無視をしてもダメなんだ。
どうしたら満足?
手首を振りほどいたら、もう一度掴まれた。
胸の奥から湧き上がる何か。
恐怖か怒りか、それが何かははっきりとわからない。
「触らないで…」
か細い声が弱々しく、自分でも情けなかった。
堂々としていないと舐められる。
そんなのわかってるのに…


