「あそこ見て」
友人の遥が窓の外を見下ろした。
「あそこ」
「え?」
「ほら」
放課後の校庭に響く男子生徒の声。
「蒼くん」
「…あ、ほんとだ」
汗を拭いながら遠目でゴールを眺めていた彼が、何かを叫ぶ。
友人が投げたボールは縁に当たり、思い切り弾けて遠くの方へ飛んでいく。
その場にいた男子生徒全員が膝から崩れ落ち、ケラケラと楽しそうに笑うのだ。
いいな、楽しそう。
「蒼くんがゴール決めるたびに声がするの」
「声?」
「下の教室一年生でしょ?窓際に女の子が集まってる」
「ふーん…」
「」
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