「ありがと、話聞いてくれて」
「うん、いつでも聞くから」
「ほんと、頼りになるー」
「そうかな?だったらいいけど」
「菜々も悩んでたもんねー」
「…。もう終わったことだからいいんです」
ここまで私を前向きにさせようとしてくれるのは、きっと経験があるからだ。
実らなかった片思いの経験が。
だからこそ、私の背中を押してくれる。
可能性が低いとわかっているのに、それでも話を聞いてくれる。
「私は忘れたの、初恋は終わった」
そう言って笑った菜々が、自分のカップに砂糖を入れた。
片思いとはそんなものなのだろうか。
少し日が経てば、いつの間にか忘れているものなのかもしれない。
別の人でも良いと思えるようになるのかもしれない。
「じゃ、また明日ね」
「あ、うん」
地面に伸びた自分の影を見つめながら、そんなことを考えた。


