「実際に見たの?」
「…誰を?」
「相手」
「先輩の相手?」
「確信がある訳じゃないんでしょ?」
「そうだけどみんな言ってるよ…って、現に私は菜々から聞いたんだもん」
「いるらしいって聞いただけ」
「でも、多分いるよ。だって…」
いない訳がない…
「だって?」
「だって、あんなにかっこいいんだもん…」
ハァ…とため息が漏れると同時に、全身の力が抜けて項垂れた。
自分で言っておいて恥ずかしくなり、よくわからない感情が胸の中に広がる。
カップを口元に持っていき、傾けて流し込む。
好まない苦味が口の中全体に広がった。
「完全に恋だね」
菜々がクスリと笑い、私のカップにミルクを追加してくれた。


