「連絡先、聞いてみたら?」
放課後、菜々と行きつけの店に立ち寄った。
他でもない、この気持ちを相談するために。
「でも向こうには…」
彼女がいる……
そもそも私の胸に押し込められたこの感情は、"好き"なのか?
それさえも分からない。
「先輩には彼女がいるから、自分なんて眼中に入らないって思ってるんでしょ?彩菜は」
「うーん、そうなのかなぁ」
カップを口につけ、ほんの少し傾ける。
口の中に広がるのは、苦味以外に何も無い。
コーヒーなど飲めないくせに頼んでしまった。
ミルクと砂糖を入れたって、この味は好まない。
それなのに。
「なんか変な気持ち…」
私の今の感情には、このくらいの苦味がちょうどよさそうだ。


