「いいの?なくて困らない…?」
借りた服を返そうとしたら、そのままでいいと蒼が言った。
「大丈夫、暖かいから着て行って」
「ありがとう。蒼に包まれているみたいで安心するの」
「…」
ピクッと反応したくせに、返事はなくて目が合った。
「え…、なに?」
変なことを言ったかな、と慌てたけれど。
「ううん、別に」
荷物を詰めて、毛布を返して、もう一度お礼を言って。
「冷えるから」
と、コートも持ってきてくれたけど、さすがに借りることはできないと押し返した。
「着ていきなよ」
「いい…」
「寒いから」
「……」
広げられたコートに腕を通すと、やっぱり私には大きくて。
でもその代わり、暖かくて。
包まれているようで…
とても安心する。
「荷物全部持った?」
「うん、大丈夫」
玄関の外に出ると、思わず身震いするような寒さであった。
コート、着てて良かった。
「1人で帰れるよ?」
「1人で帰すわけないだろ」
「………」


