「あはは、どーした?」
ほんと、訳がわからない。
泣きそうだなんて予兆もなかったくせに。
ただ ありがとう って言いたかっただけなのに。
溢れたら止まらなくなった。
「なんかあった?」
こんな私を見て笑う蒼が、背中を擦ってくれる。
「ごめん、なんにもないのに…」
「なんにもないのに悲しいの?」
「…ふふ、かなしいの」
幼い子供みたいな自分があまりにも情けなくて、2人で顔を見合わせて笑った。
「幼稚園児かよ」
って。
「今日は本当にありがとう」
「何もしてないよ」
「ごめん、もう帰るから」
「大丈夫?体調は」
「大丈夫、良くなった」
「よかった」
頬を擦り、涙を拭い、蒼の胸に吸い込まれるように自分から。
「うんうん、頑張ったね」
そう言ってまた背中が撫でられて、大好きな匂いに包まれて、また安心して。
朝から変に不安定だった気持ちも、ちょっと泣いたらスッキリした。
一人で帰ろうとしていたら、どうなっていたかわからない…。


