*季蛍side*
はっきりしていく意識の中で、徐々に思い出した記憶。
薬のお陰か、地獄のような痛みからは解放されていた。
上半身を起こすと、傍に蒼の姿があった。
「あ、おはよう」
「おはよ…ごめん、寝ちゃって」
「薬飲んだから当たり前」
「痛み良くなった、ありがとう」
「そっか、よかった。お兄さんには連絡してあるから」
「あ…ごめん、頭回らなくて」
「いいよ、今日くらい」
床に落ちていた毛布を掛け直してくれた蒼が、隣に身を寄せてきて。
「朝からしんどかったでしょ」
「うん…実は」
「帰りに会えてよかった」
「ごめん、結局迷惑掛けちゃった」
「ううん」
頭を何度か撫でられて、じんわり滲む涙を堪えきれなくて。
特に理由もないのに溢れる涙を見られるのが嫌で、毛布に顔を埋めるけれど。
「あらら、泣いちゃうの?」
バレバレだ。


