「季蛍、これは?」
カットしたリンゴを持ってくると、少し口角を上げた。
「ありがと…、食べられそう」
小さめのものを手に取ると、ゆっくりと口の中へ。
「ん、…美味しい」
「よかった。水も置いておく」
コップを置いて立ち上がろうとしたら、袖をパッと掴まれて。
「いっぱいありがとう…」
「…ふふ。」
その何とも言えない表情に、笑いを堪えきれない。
「今日は早退したらよかったのに」
「…したかったけど、保健室に行く体力もなくて」
「そっか」
「誰も迎えに来れないし、耐えるほうが丸く収まるって…」
「授業も出たの?」
「うん…」
「言ってくれれば保健室について行ったのに」
「蒼には言えないよ…」
ポフ、と毛布に顔を埋めてしまった。
その頭を撫でながら、肩から落ちた毛布を引き上げて全身を包んでおいた。


