Cara~番外編~












「下ろすよ」




首に回していた手をパッと離すと、両足が地面についた。



そうして膝から崩れるように座り込む。



これまでの道のりは ほとんど記憶が無い。







息を上げて制服のポケットに手を突っ込む蒼に、弱々しく声を掛けた。



「…重かったでしょ?ありがとう…」



ポケットから鍵を取り出した蒼が、首を横に振った。



「大丈夫だよ」







ドアが開くと、蒼は私の背後に向かって声を掛けた。




「荷物ありがとう」




振り返ると、同じ制服を身につけた女性が 蒼と私の荷物を両手に抱えて立っていた。



落ち着いた茶色のストレートヘアが目を引く彼女は、蒼に荷物を手渡すと、私に向かって微笑んだ。




「大丈夫?」


「はい…」


「体温めて休ませてもらった方がいいからね。じゃあ蒼くん、私は行くね」



「本当にありがとう、無理言ってごめん」


「大丈夫だよ、このくらい。じゃあ、彼女さんもお大事に」




そう言って私に微笑みかけると、そのまま去っていった。




「少し待ってて」



蒼は両手に荷物を抱え、ドアの向こう側へ消える。





記憶が途切れているせいで何も思い出せない。



抱えられる恥ずかしさよりも、痛みが勝っていた。



そんな自分が情けない…。






再度ドアが開くと、扉を押さえたまま蒼の手が差し出された。



「立てる?」



力の抜けた両足でどうにか立ち上がると、手を引かれて玄関の中へ。




「蒼…の家?」


「…今までどこに座ってたんだよ」




失笑され、蒼は先に部屋の中へ。


確かに蒼の家の方が距離は近い。


だけど…




「上がって」


「え、でも…」


「誰もいないよ、大丈夫」


「……お邪魔します」