外に出ると生暖かい風が吹く。
湿った空気はただでさえ苦手なので、こんな日は体調が最悪だ。
部活動帰りの楽しそうな生徒の声は、今は聞きたくない。
ほとんど進まない小さな歩幅。
帰り道が見えない…
校門をようやく出たところで、知っている姿が視界に入ったような気がした。
横に並んだ3人の男子生徒の1人が、こちらをじっと見つめている。
余裕はなかったのに、それが誰なのかはすぐにわかった。
気配を消すように俯いたが、彼は他の2人に何かを言い残すと、こちらに向かって歩いてきた。
気づかれた。
今は笑顔を浮かべる余裕もないのに。
いつものように笑っていられる自信はないのに。
ポン、と肩を触られた。
顔を上げると、蒼の姿があった。
「大丈夫か?」
その姿を見ると何故かホッとして、頷くのが精一杯で、どうしようもなくなって。
私の小さな歩幅に合わせて歩いてくれる蒼が、何も言わずに荷物を持ってくれる。
「…りがと」
「歩ける?」
首を横に振りそうになった。
ぐっと堪え、何度か頷いてみる。
無理だと言ったところで、帰り道が短くなるはずもない。
「平気だよ…」
「顔には"ムリ"って書いてあるぞ」
「……」


