*高島side*
カンファレンスを終えて売店に寄り、サンドイッチと飲み物を買って医局に向かう。
途中窓の外を覗くと、見るからに重たい嫌な空が果てしなく広がっていた。
会議中は季蛍の様子をあまり気にする余裕はなかったが、向かいの席で順調に手元を動かしていたので大丈夫だろう。
あまり干渉しすぎても本人のストレスになる。
自分に言い聞かせるようにして医局の自席につき、袋の中身を取り出しながら椅子を軽く後ろに引いた。
首を伸ばして奥のデスクを確認すると、椅子に深く腰を掛ける季蛍の姿を捉えた。
モニターを前にうつむき具合に顔を伏せ、おまけにキーボードには手が届いていない。
「季蛍」
隣のデスクに人がいないのをいいことに椅子を借り、そばに寄せる。
「昼、まだ?」
「あ…いえ、大丈夫です」
「これ見て」
「…?」
"今だけ増量"のシールが貼られたサンドイッチの封を開け、季蛍の前に差し出した。
「どーぞ」
「……でも」
「たまごかハム、どっちが好き?」
「………じゃ、たまご…」
「うん、いいよ」
「すみません……」
ためらいながらもそれを手に取り、ゆっくりと口に運ぶ。
喉を通るまでに時間は掛かったが、ようやく飲み込んだのがわかった。
それを横目に残ったサンドイッチを手に取り、角から口の中へ。
「たまごおいしい……」
「食欲ないわけじゃないんでしょ?」
「もりもりはないですけど、おいしいです」
「もりもりはなくていいよ」
「ふふ…ごちそうさまです」
最後の一口を押し込むのを見ていたら、後ろに迫り来る気配を感じた。
「うわ、びっくりした……蒼先生」
回診リストを片手に抱えたまま背後に立ち、彼の鋭い視線が突き刺すように季蛍に向けられる。
「回診早めに終わってさ」
「そうなんですね〜、あ、ここ代わります?」
「いや、何してんのかなって見にきただけ」
「おすそ分けです」
「ふーん」


