「ん"ッ……」
横のデスクでコーヒーを口にした高島が、咳き込みながら怪訝そうな顔をした。
「なに、大丈夫…」
と言いかけて視線が入り口の方へ向いていることに気が付き、同じ方向へ目を移す。
「あ……」
外来を終えて戻ってきた季蛍が、白衣を揺らしながら不服そうな顔をしている。
その顔に違和感があり、高島と同じように凝視した。
「……見て、瞼がすごく重い」
「どうしたの……その顔」
「診察中にどんどん目が重たくなってって」
朝の表情とは打って変わって目周りが腫れ、ぱっちりとしていたはずの瞼がずっしり重みを持っている。
「来たね、気圧が」
背後に椅子を滑らせながら移動してきた高島が呟き、腕を少し引いて顔を覗きこんだ。
「しんどいでしょ、大丈夫?」
「なんとか……。私、顔ひどいですか?」
「………いや?」
「いま考えた…」
「いや、考えてないよ。ひどくはない」
「ひどくは……って、じゃあ腫れてますか?」
「………まあ、…ね?」
急に弱気になり意見を求めてくる高島に頷き、デスクの上の手鏡を差し出す。
「ひどくはないけど浮腫んでる」
「……ほんとだ」
「ひどいまではいかないよ、かわいい」
「うん、かわいいよ、季蛍」
付け加えるような高島と俺を交互に見た季蛍がため息を吐き、手鏡をたたんで頬に手を当てる。
「顔も膨らんでる……」
「言うほどわからないですよね?蒼先生」
「うん、何も問題ないよ?」
「……信用できない」
口を膨らませた季蛍がデスクに戻り、ふたたびチョコレートを口に含んだ。


