予約していたお店でコース料理を嗜み、次へ街へ出たときには木々が色づいていた。
「イルミネーション久しぶりに見た」
「たしかに」
クリスマスの時期は病院の中庭が少し華やかになる。
毎年それを見ると冬の訪れを感じていた。
街中のイルミネーションは本当に久しぶりだ。
「季蛍、そこに立って」
大きなツリーの下に立ち位置を指定され、言われるがままに足を置く。
「撮らせて」
「えー、ひとり?」
「一枚」
シャッター音が重なるように聞こえたあと、満足そうにオッケーサインを示す。
「一枚じゃないじゃん!」
「あはは、つい」
「次私が撮る」
「えー、ひとり?」
「ひとり!」
渋々の蒼からスマートフォンを受け取り、シャッターを押す。
懐かしいな、この感じ。
無意識に高校生の冬を思い出していた。
「どう?」
「撮れたよ、…いいでしょ?」
「うん、上手」
光る場所が多すぎて目が足りない。
あたりを見回しながら再び二人で歩き出す。
「高校生の頃思い出しちゃった」
「やっぱり?俺も」
「すっごい寒かったよね」
「寒かったね、夜雪降ったよね」
「そうだっけ」
「少し降った」
「なのに制服で行ったんだよね、コートもなしに」
「そうそう、あれは凍えた」
「何も考えてなかったもん」
「今度行ってみる?昔と同じ場所」
「本当?行きたい」
「じゃ、次はそこで」
次の予定ができて嬉しくなった。
今日が終わってしまっても寂しくはない。


