*高島side*
「チクッとしまーす」
点滴の針が順調に入ると、薄目を開けた季蛍が頭上に目を移す。
「痛かった?」
「全然…」
「終わったら帰っていいからね。蒼先生呼んでくる?」
「大丈夫です…」
入院までは必要ない。
少し安静にしていたらいい、…今は。
「ご飯食べてる?熱が高いから無理にとは言わないけど」
「食べてますよ…ゼリーとか」
そう言って手振りで飲む様子を表した。
「ああ、あれなら食べやすいね」
診察室のドアがノックされ返事をすると、蒼先生が顔を覗かせた。
「どう?大丈夫そう?」
「はい、終わったら帰宅で大丈夫です」
「そっか、ありがとう」
「少し食べられてるみたいでよかったですね」
「あのゼリー限定なんだけどね」
「はは、救世主だ」
「帰り買って帰ろうか」
蒼先生の問いに二度頷いた季蛍が瞼をゆっくり持ち上げる。
「ふふ、寝ていいよ。終わったら起こすから」
「そこいてね…」
「うん、いるから」
少し前まで蒼先生は呼ばなくていいと言っていたのにね…
顔を見て名残惜しくなった季蛍が微笑ましくなり、彼の安心感を得て眠りにつく様子を見届けた。
*おわり*


