*蒼side*
「おはよ」
何度か瞬きを繰り返した季蛍が、少し安堵した表情を見せた。
「おかえり…」
「ただいま、大変だったね」
「うん、ちょっと。でも大丈夫」
「眠れた?」
「うん…」
「そっか、よかった」
「急いで帰ってきた?ごめん…」
「ううん、予定通り」
「でも、今日の予定は私が台無しにした」
涙目を隠すように窓側へ顔を向ける。
「なに、台無しって」
「入院になったから」
「台無しなんかじゃないでしょ」
「…っ、悔しい…」
「季蛍」
「…」
「こっち向いて」
「…」
涙の粒が流れ落ちそうだ。
「泣かないの」
「だって、いつもこうだから」
「お出かけなんかいつでもできる」
「クリスマスのデートはもうできない」
「退院したらすればいい」
「ツリーはもうない、私のせい」
「ふふ…そんなにツリーが見たかったの?」
「んーん…一緒に行きたかったの」
「イルミネーション行こう、ツリーは来年がある」
「そうだけど…」
「体治すのが先、良くなったらどこにでも行くから」
「…うん」
クリスマス当日に出かける約束はしていたが、そこまで楽しみにしていたとは知らなかった。
少しタイミングが悪かったね。


