救急隊員に診察券を提示することで通院先を知らせようと思っていたが、高島先生が事前に搬送先を指定してくれていた。
「大丈夫です、わかってます」
到着した救急隊員にそう言われ、力が抜けるほど安心したのを覚えている。
「季蛍、今日ご飯は?」
「なにも…」
「朝から体調悪かった?」
「寝ても悪化するだけで」
「そっか。一応朝食は普段通りオーダーしておくよ」
「すみません」
「寝れなかったら呼んで」
「大丈夫です…たぶん」
発作の反動からか飲み込む力が弱く、内服を諦めた。
注射器で強めの薬が入れられる。
治療の流れは私がよくわかっているからこそ、入院が億劫に感じるのだ。
「明日までは絶対安静で」
「はい…」


