カップに入ったミルクのソフトクリームを手にベンチに戻ると、少し青白かった陽の顔色がよくなっていた。
「ありがとう……冷たいの食べたかった」
「うん、落とさないように気をつけて」
綺麗に巻かれた白いソフトクリームの頂点に刺さっていたスプーンをひとつずつ取り、陽の手元に差し出す。
「ひとつだけ買ったの?」
「うん、でもね、サイズは一番大きいの」
「ふふ、だよね?気のせいかと思った」
「陽、最初いいよ」
「…いいの?ありがとう」
ソフトクリームの上部分をスプーンですくい、口の中へ。
たちまちほどけるような顔をした陽が、目を閉じて味わうように表情をゆるめた。
「どう?おいしい?」
「おいしい…!すごく濃厚」
自分のスプーンでアイスの横をすくい取り、同じように口の中へ…
舌の上にまず温度が伝わり、その次に濃厚なミルクのコクが全体に広がっていく。
それでいて後味はさっぱりしていて食べやすい。
「ほんとだ、おいしい」
「もう一口、いい?」
「いいよ、半分こだから」
嬉しそうに目を細めた陽が、再びスプーンですくい取り…
そうして交互に食べ進めていくと、カップの底が見えてきた。
「おいしいね。あといいよ、全部食べて」
「いいの?」
「うん、食べな」
一口食べるたびに"おいしい"と呟く陽が愛おしく、そのキラキラした顔を見るたびに一生守りたいと強く思うんだ…
「港、はい」
「ん?」
「最後のひとくち、食べていいよ?」
「いいの?」
「うん、買ってきてくれてありがとう」
「…こちらこそありがとう」
少し溶けかけていた最後の一口をスプーンですくい、カップの中は空になった。
「復活した?」
「した!もう歩けるし、走れる」
「走らなくていい」
冗談を言えるほどに回復したのだと安堵し、立ち上がった陽の手を握って歩き出す。
「あの奥までお店見たら、今日は帰ろうか」
「…うん、そうだね」
「早めに切り上げて、おうちでベビーカーの相談会しよう」
「いいね、楽しみ」


