*季蛍side*
見飽きた白い天井を眺めていたら、ベッドの横に人影を感じた。
「季蛍」
それでも顔を向けない私を見てか、隣にしゃがみこんだ高島先生が肩を軽く叩く。
「ごめん、入院」
「…」
「ごめんね」
「先生はなにも悪くないです…」
「蒼先生に連絡しておくけどいい?こっちに戻ったら来てもらえるように」
「明日帰りますか?」
「うん、朝帰るって」
「…」
「一応予定は一週間ね」
「…はい」
「限界迎える前に来てくれてよかった」
蒼が出張でいない中、横になることが困難なほどの息苦しさに悶えた夜がとても長く感じられた。
立っても座っても改善することのない苦しみが数時間続き、迷った挙句高島先生に電話を掛けたのだ。
まともに話すことができない電話口の向こうで、彼が強い口調で言ったのを覚えている。
「救急車呼ぶから待ってて」


