Cara~番外編~




いつもは一緒に出かけるはずの買い物。


隣の助手席が空っぽなのが、やけに寂しく思えた。




いちご……


小さな果実ひとつに、これほど気持ちが乗るとは思っていなかった。


そして、これほど入手が大変だとは想定もしていなかった。


あれほど春に見かけた果物が、今はまるで最初から存在していなかったかのように消えている。


それが自然のサイクルだとわかっていても、心はじわりと重く沈んでいった。




最後に立ち寄った店の果物コーナーで、ふと目に留まった小ぶりの桃。


「産地直送」「早生品種」と書かれたポップに目をとられ、気がついたら手に取っていた。


まだ固そうだが香りは甘く、桃色の皮からみずみずしさを感じる。


数日置かなくとも、やわらかく煮ればなんとかなるかもしれない…


スイカやメロンは体を冷やしやすいリスクもあるが、水分が取りやすい。


陽は求めていないかもしれないが、実物を見て食べられると思えるかもしれない。


カゴにいくつか果物を入れ、レジを済ませて急いで車に戻る。


ちょっと時間が掛かり過ぎたな。