朝が来た。
あのあと少しは眠れたようだが、日が昇ってから再びトイレにこもってしまった。
「陽、今日お昼過ぎに帰るね。そのあと一緒に病院行こう」
「ん…」
「帰るまで実家にいる?」
「…いい、遠いから車しんどい」
「…そうだね。わかった」
一度洗面所へ出て口をゆすいだのだが、タオルを手に取る前に再びトイレの中に駈け込む。
その後を追い、背中をさするのだが…
もう出るものも涙もなさそうだ。
「熱…はないね」
首で体温を確認するが、測ってもきっと平熱だろう。
「も、いい…大丈夫…お仕事行って…」
フラフラと洗面所へ出ると、洗面台の縁を掴んで座り込んだ。
「も、なんも出ない…」
深夜からずっとこうなのだ、もう体力の限界だろう。
このまま家に一人置いて出られるか?
不安だ…不安しかない。
「私は…大丈夫。ごめん、ありがとう…」
頬に残った涙の跡。
可能性があるとすれば……


