終始笑いが絶えず、おやつの時間すらも楽しかったのだ。
来ようと思えばすぐに来れる距離。
それでも少し、別れが寂しい。
「陽、体調には気をつけて」
これまで陽気でいた父も、真剣な目をしていた。
「何かあったらまたすぐに来ていいからな」
そんな父の言葉に頷くと、
「港くんがいるから滅多に用はないよな」
そう言ってまた、優しく笑っていた。
「うん、そうかも。ありがとう」
「港くんも、身体には気をつけてね」
そう言って母が肩を叩く。
「ありがとうございます、お二人もですよ?」
「大丈夫よ、あなたたちに迷惑は掛けないから」
「いや、」と否定しかけた港の肩を今度は父が叩き、謎の握手を交わす。
「港くんがいたら安心です」
「はは、プレッシャーが」
「あはは、本当に気をつけて帰って」
寒いからいいと断ったにも関わらず、車に乗り込むところまで見届けている。
「失礼します〜」
港が手を振ったあと頭を下げると、玄関前の二人がブンブンと手を振った。
「ありがとう、また来る!」
二人にそう叫び、港に体を支えてもらい後部座席へ。
「途中体調悪くなったら言ってね」
「うん、わかった」
私の返答に港が頷き、ドアが閉まる。
「いい?車出すよ」
「うん、お願いします」
飛び跳ねて手を振りながら車を見送る二人の姿に、私も港も、笑いを堪えきれなかった。
*おわり*


