「風邪だから大丈夫だよ?」
「うん、わかってる。一応ね」
ワイシャツのポケットから取り出した体温計のスイッチを押し、パジャマのボタンを外す。
「そんなところから体温計出てくるの港くらいだから」
「ふふん、準備済みでした」
「褒めてないもん」
「なに、測るだけだから嫌じゃないでしょ」
「いやだよ、冷たいから」
「温める」
手で少し温めたあと、胸元から手を入れて体温計を挟む。
体も少し…いや、それなりに熱いな。
しばらくして体温計が鳴り、表示を見ると 38度。
「わあ…」
思わず声が漏れたので、誤魔化すように頭を撫でた。
「そんなに高いの…」
「うん、ちょっと。見る?」
「いい」
「どこも痛くないの?」
「痛くないよ」
「頭痛は?」
「ない、本当に」
「喉痛いとか、鼻水出るとか」
「ない…」
「ちょっと喉見せて」
意外にもすぐに口を開け、覗いたが腫れはない。
発熱以外に症状は本当にないようだ。
「疲れが出たのかもね」
「うん、だって食欲あるから」
「そっか。でも無理は禁物だからね」
「ん、ありがと…」
再び伸ばされた両腕を受け止め、胸の中で頭を撫でた。
愛しくてたまらない。
「カステラ食べる?向こうでさ」
「カステラ…!?」
「おいで、こっち」


