尋常じゃないほどの汗をかいたあと体の熱が引き、スマートフォンの画面をまともに見られるようになっていた。
時刻は20時過ぎ。
これだけ寝ればそりゃ多少はマシになるか…と、やや乾きかけたシャツの背をベッドに預ける。
体の調子を問うメッセージに返信を送った数秒後、寝室のドアが静かに開いた。
「熱、下がった?」
「絶対下がった」
と軽口を返すと、白くて細い指先が額に沿うように当てられる。
「……たぶんあるよ?」
微妙な顔をした季蛍が、体温計を取り出した。
「それ困るな」
「明日私出勤するから安心して」
「え?いいよ。朝までには治る」
「ううん、高島先生と相談して決めたから」
返す言葉が一瞬詰まる。
「そしたら安心して寝られるでしょ?」
「……ごめん」
「全然大丈夫。蒼だったら私にそうしてくれるから」
体温計の電子音が鳴り、表示された数字を見て肩を落とした。
体感的にはだいぶマシになったと思っていたけれど、数字は思ったよりも頑固に残っている。


