寝室のドアを閉め、電気をつけた。
床に敷いた布団に横たわる陽が、明るさに少し顔を歪めたのがわかった。
「陽」
頬、首筋と手の甲を当て、熱い体温を感じ取る。
「ただいま」
前髪を指で払ったら、二、三度 瞬きをしながら瞼がゆっくり持ち上がった。
「おかえり…」
「ごめんね、遅くなって」
「お疲れさま…疲れたでしょ?」
「大丈夫」
ふらふらと伸びた右手が頬に触れ、指先で少し撫でられた。
手が熱いな。
「ゆっくりできた?」
「できたよ、ご飯もいっぱい食べた」
「聞いたよ、すごい安心した。朝より体調は悪そうだけど」
「ううん、全然大丈夫」
「そうは見えないな」
「本当なの」
「…ならいいけど」
「あのね、一人で寝てたらすごく寂しくなっちゃって」
「うん」
「夢に港がでてきた」
「…会えた?」
「うん、会えた。これが現実かどうかもまだわからないの」
「あはは、現実だよ」
のそりのそりと体を起こし、両腕が伸びてくる。
それに応えるように上半身をそっと抱きしめて、髪を撫でて、額に手のひらを当てて。
「もー、体温測らないでよ」
「はは、バレた?」
「バレバレ」


