*陽side*
声を掛けられてリビングに行くと、オムライスが並んでいた。
ふわふわの卵にケチャップで描かれたハートの絵。
子どものときに大好きだった母の手料理のひとつなのだ。
「…あ、お父さん」
帰宅していた父が二階から降りてきた。
目を丸くした父が両手を広げ、そこへ吸い込まれていく。
「会いたかった」
「うん、私も」
「大丈夫なのか?体調は」
「大丈夫」
「あんまり顔色は良くないけどな」
「本当に平気、食欲もある」
「そうか」
「お父さんは元気だったの?」
「相変わらず」
「よかった、心配してた」
「俺はいいんだよ、赤ちゃんの心配だけで」
なかなか離してもらえないので、思わず笑ってしまった。
父の腕の中の温かさが懐かしく、胸がじんわりとした。
「もう、いつまでそうやってるのよ」
見兼ねた母が声を掛け、笑った父が手を離す。
「オムライス冷めちゃうよ」
「うん、食べる」


