「遅いと思ったら」
風呂場の中を覗いたら、髪をお団子に結いた陽が湯船にプカプカと浸かっていた。
「もう上がったら?」
「まだ3分だもん…」
まるで子どもの言い訳のような口調に思わず苦笑する。
「顔赤いから」
「全然温まってない…」
「ほら、目もほわほわしてる」
「…」
「出よ。今日はもう、無理しないで」
「…わかった」
手のひらを取り、浴槽から一歩ずつ出る陽を見届ける。
一歩一歩、滑らないように…
つないだ指先がどこか頼りなく、足元が少しふらつくのを見て内心ヒヤリとする。
危なかった。
「お水飲みたい…かも」
「うん、持ってくるから着替えてて」
「ごめん…」


