*季蛍side*
「おつかれ」
自宅の駐車場に到着して外に出ると、後ろから頭をわしゃっと撫でられた。
「うん…運転してくれてありがと」
帰りの道中完全に眠り込んでしまい、ここまでの記憶がない。
それでも声を掛けずにいてくれて、きっと蒼も疲れているのに最後まで運転してくれて。
「少し寝たら復活した?」
「した、もうねむくない…」
少し寝ぼけているせいか返答に蒼が笑い、後部座席のドアを開ける。
「ふふ…見て」
そう言って車内に指を向けるので、中を覗き込む。
「あはは、疲れちゃったんだ」
二人で頭を寄せるようにして眠っていた。
口元が綻んでいて、何か楽しそうな夢を見ているようにも見えた。
「愛優、起きて」
蒼が肩を揺するものの、目を覚ます気配はない。
「可哀想か、起こしたら」
「…でも抱えていける?」
「いけないことはない」
「…」
頬に手の甲を当て、名前を呼んでみる。
「あや、眠い?お家ついた」
「んんー…」
「蒼に抱っこしてもらう?ふふ」
半分本気でそのつもりでいたが、そう言うと瞼が持ち上がり、窓の外に視線を移す。
「大丈夫?疲れちゃったでしょ」
「ううん…」
「今日ありがとね。いっぱい」
「…なにもしてないよ」
後部座席から車外に降りるまでを見届け、残るは小さい体のみ。
「起こす?」
「たぶん起きないよ」
ほんの少し体を揺すった蒼が笑い、荷物を座席に置いた。
「仕方ないな」
小さな体とはいえ、抱えるのも楽じゃない。
それでも愛おしそうに抱き上げ、胸に頭を乗せる。
「荷物お願いしていい?」
「うん、持っていく」


